1. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する病気です。睡眠中に起こるため自覚しにくく、放置すると日中の強い眠気や集中力の低下を引き起こし、事故のリスクが高まります。さらに、高血圧や心疾患、脳卒中などの重大な疾患の原因にもなることがわかっています。

 

2. SASの主な症状

• いびき
大きないびきをかく

• 無呼吸
睡眠中に呼吸が止まる(家族やパートナーに指摘されることが多い)

• 日中の眠気
十分な睡眠をとっているはずなのに日中に強い眠気を感じる

• 起床時の頭痛
朝起きたときに頭痛がする

• 集中力の低下
仕事や運転中に注意が続かない

 

3. SASの危険性

SASを放置すると、以下のような健康リスクが高まります。

• 交通事故・労働災害
SASが原因とされる交通事故の事例として、2003年の山陽新幹線の居眠り運転や2012年の関越自動車道バス事故があります。

• 生活習慣病との関連
SASは高血圧や糖尿病、心筋梗塞、脳卒中といった疾患の発症リスクを高めます。

• 突然死のリスク
SASによる低酸素状態が毎晩続くことで、心臓や脳に負担がかかり、命に関わる事態を招く可能性があります。

 

4. 検査と診断

SASは適切な検査を受けることで診断が可能です。以下のような方法があります。

• 簡易検査(在宅で実施可能)
睡眠中の酸素濃度や呼吸の状態を測定する検査

• 精密検査(終夜睡眠ポリグラフィー:PSG)
病院や在宅で実施し、より詳細なデータを取得する検査

簡易検査の結果、一定の基準を満たした場合には精密検査が必要になります。

 

5. 治療法

SASの治療には以下のような方法があります。

• CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
SAS治療の第一選択肢とされる方法で、寝ている間にマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を広げ、無呼吸を防ぐ治療法です。CPAPを継続的に使用することで、症状の改善が期待できます。

• 生活習慣の改善
減量や横向きでの睡眠、アルコールの制限、禁煙などが推奨されます。

• 口腔内装置(マウスピース)
軽度のSASの場合、歯科で作成するマウスピースを使用することで気道を確保することが可能です。

• 手術
鼻や喉の構造的な問題がある場合、外科的手術が検討されることもあります。

 

6. 早期発見・治療の重要性

SASは放置すると生活の質(QOL)を低下させるだけでなく、重大な健康リスクを伴います。しかし、適切な検査と治療を受けることで、症状を改善し健康を維持することが可能です。

「いびきがひどい」「日中の眠気が強い」などの症状に心当たりがある方は、早めの受診をおすすめします。