SNSを見ていると、
- 「天然ウゴービ」
- 「天然マンジャロ」
- 「医師がおすすめする痩せる食材」
といった投稿を目にすることがあります。
健康的な食事や、たんぱく質・食物繊維などを意識した食生活そのものは大切です。
しかし、食品と医薬品は同じものではありません。
最近、韓国では有名病院や医師の名前を無断で使用し、「天然ウゴービ」「天然マンジャロ」などと紹介しながら、特定の食品の購入へ誘導するSNS投稿が問題になりました。
今回はこの事例をもとに、SNSで見かける「医療ダイエット情報」を見るときに注意してほしいポイントを解説します。
01 THE CASE IN KOREA
韓国で「天然ウゴービ」をうたう広告が問題に
2026年9月、韓国のSNS上で、
「ソウル峨山病院の教授が教える天然ウゴービ」
などとうたった投稿が多数拡散しました。
投稿には食材やレシピが掲載され、「1週間で体重が減った」「ウエストが細くなった」といった内容とともに、オンラインショップの購入ページへ誘導するリンクが設置されていました。
- 有名病院・医師の名前
- 食材・レシピ・体験談
- 購入ページへのリンク
FACT
しかし、名前を使用された医師やソウル峨山病院は、これらの商品・広告とは無関係でした。
病院側は、病院名や出身医師の名前を無断で利用して商品購入へ誘導する広告が拡散しているとして、公式に注意を呼びかけています[1]。
名前を使われた医師本人も、自身の名前を無断使用した広告について注意を呼びかけています[2]。
02 WHAT IS “NATURAL WEGOVY”?
そもそも「天然ウゴービ」とは?
まず知っておきたいのは、
「天然ウゴービ」「天然マンジャロ」という
正式な医薬品や医学用語が存在するわけではない
ということです。
SNSでは、満腹感を得やすい食事や食材などを、分かりやすく表現するために「天然ウゴービ」などと呼ぶケースがあります。
もちろん、
- たんぱく質を
しっかり摂る - 食物繊維を
意識する - バランスのよい
食事をする
といったことは、体重管理や健康維持において大切です。
しかし、
は別のものです。
POINT
「天然○○」と書いてあるからといって、医薬品と同じ作用や同じ減量効果があると考えるのは適切ではありません。
03 ABOUT THE MEDICINES
ウゴービやマンジャロは「ただ食欲を抑える商品」ではありません
- ウゴービセマグルチド|GLP-1受容体作動薬国内承認:肥満症
ウゴービは、セマグルチドという成分を含むGLP-1受容体作動薬です。日本では、一定の条件を満たす「肥満症」の治療薬として承認されています[3]。
- マンジャロチルゼパチド|GIP/GLP-1受容体作動薬国内承認:2型糖尿病
一方、マンジャロの有効成分であるチルゼパチドは、GIP/GLP-1受容体作動薬です。日本でマンジャロは2型糖尿病治療薬として承認されています[3]。
- ゼップバウンドチルゼパチド|GIP/GLP-1受容体作動薬国内承認:肥満症
同じチルゼパチドを有効成分とする「ゼップバウンド」は、一定の条件を満たす肥満症の治療薬として承認されています[3]。
商品名が似た文脈で語られることがありますが、薬によって承認されている目的や使用条件は異なります。
POINT
そのため「痩せる注射」というひとくくりの情報だけで判断するのではなく、医師が患者さんの状態や使用目的を確認することが重要です。
04 “DOCTOR RECOMMENDED”
SNSで「医師推奨」と書いてあっても安心とは限りません
今回の韓国の事例で特に注意したいのは、有名な病院名や医師の名前が掲載されていたことです。
私たちは、
- 「○○病院の医師がおすすめ」
- 「専門医が教える」
- 「医学的に証明された」
と書かれていると、どうしても信頼できる情報のように感じてしまいます。
しかしSNSでは、医師の発言の一部分だけが切り取られたり、本人とは無関係な商品広告に名前や写真が使われたりする可能性があります。
POINT
「医師が出ているから大丈夫」と判断するのではなく、その医師本人や病院の公式サイト・公式SNSでも同じ情報を発信しているのかを確認することが大切です。
05 CHECK POINTS
こんなSNS広告を見かけたら一度確認を
医療やダイエットに関する投稿を見る際は、次のような表現がないか確認してみてください。
「○日で○kg痩せた」と極端な結果を強調している
体重の変化には個人差があります。
特定の人の体験談だけで、自分にも同じ結果が出るとは限りません。
有名な医師・病院の名前を強く押し出している
本当にその医師や医療機関が関与している情報なのか、公式サイトなどで確認しましょう。
「天然だから安全」と強調している
天然成分や食品だから必ず安全というわけではありません。
持病や服用している薬との組み合わせによって注意が必要なものもあります。
記事の最後が商品購入ページになっている
健康情報のように見せながら、最終的に特定の商品購入を目的としているケースがあります。
「誰がこの情報を発信しているのか」「誰が利益を得るのか」を確認することも大切です。
メリットしか書かれていない
医療には効果だけでなく、リスクや副作用、使用できないケースがあります。
良いことだけが書かれている情報には注意が必要です。
06 IN JAPAN
日本でもGLP-1関連の情報には注意が必要です
日本でも厚生労働省は、GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬について注意喚起を行っています。
SUMMARY
「流行っているから」ではなく、正しい情報を確認することから
GLP-1関連の医薬品や医療ダイエットに関する情報は、SNSで非常に多く見られるようになりました。
その一方で、
- 「天然○○」
- 「○○医師おすすめ」
- 「誰でも簡単に痩せられる」
といった、目を引きやすい表現も増えています。
SNSは健康情報を知るきっかけとして便利ですが、短い投稿だけでは、その治療が誰に適しているのか、副作用やリスクには何があるのかまで分からないことがあります。
大切なのは、
「SNSに書いてあったから」ではなく、情報の発信元や医学的根拠を一度確認することです。
薬による体重管理を検討する場合も、自己判断で始めたり、出所が分からない薬を購入したりせず、医療機関で現在の健康状態や持病、服用中の薬などを確認したうえで相談してください。
ラピスクリニック天神では、これからもSNS上で話題になっている医療情報について、医療機関の立場から分かりやすく解説していきます。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療を行うものではありません。
参考資料
[1]KOREA WAVE/AFPBB News「韓国で『天然ウゴービ』うたう偽広告拡散、著名医師の名前を無断使用…病院が注意喚起」(2026年9月25日、Yahoo!ニュース掲載)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e34433aba51d59842ab6e2c2be79b0cb8522343
[2]ソウル新聞(2026年9月23日、韓国語)
https://www.seoul.co.kr/news/life/health-news/2026/09/23/20260923500306
[3]PMDA 電子添文(ウゴービ/マンジャロ/ゼップバウンド)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/620023_2499418G5023_1_07
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530471_2499422G1024_1_11
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530471_2499422G7022_1_06
[4]厚生労働省「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について」(令和8年6月16日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001711985.pdf
[5]厚生労働省「マンジャロ・リベルサスなどの2型糖尿病治療薬の美容・痩身目的での使用による健康被害にご注意ください」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index_00003.html

